今年ももうすぐ終わりですね
日一日と寒さが厳しくなりますが　私はどうにか生きています
あなたとお別れしてから半年　もう心の傷もだいぶ癒えました
ただ変わってしまったのは　あなたがここにいないことだけ

あなたが逝ったあの坂道は　今もあの日と変わりなく
ただガードレールに供えた花束が冬の寒さで枯れかけています

あれは初夏のある晴れた爽やかな午後
私を助手席に乗せて海までドライブ
夕暮れの砂浜をふたりで手を繋いで歩いた

何気ない会話の中で　あなたが話した言葉の一つ一つが
今思えばとても気がかりでした　
そしてその日はなぜか鴎がやけに低く飛んでいた
まるで何かを暗示していたかのように

その帰り道で　あの坂道に差しかかった時
そこで運命の歯車が狂ってしまった
私が不意に落としたカセットを　あなたは拾おうとした
そしたら次の瞬間対向車の大型トラックの眩しい光が目の前に
慌てたあなたはハンドルを切り　それから先は覚えていません

気がつくと私は病室のベッドの上
あなたがいなくなってしまったことを知らされ
私はショックの余り　何が起きたのか暫く理解できなかった
あなたが死んでしまったなんて　私には信じられなかった
そして幾つもの夜を涙で枕を濡らした日々

「全部私のせい　どうして私だけが助かったの？」
　神様を恨んだこともありました

二人で買ったお揃いの歯ブラシも　
今では独りの部屋に置き去りのまま
この部屋だけがあの日から時間が止まっている

あなたと出逢って二年半　私はとても幸せでした
毎日が日溜まりの中にいるようで暖かく包まれていた
あなたの手の温もり　優しい声　いつも隣で見せてくれた笑顔
今でも全部覚えています

あなたは私との約束を　覚えていますか
「夏には一緒にお揃いの浴衣を着て花火を見に行こう」
「秋には一緒に山にドライブに出かけ綺麗な紅葉を見よう」
「冬には一緒にクリスマスを朝まで過ごそう」って
そして「春には･･･」
ずっと楽しみに待ってた　この幸せが永遠に続くと信じていた
いつかこんな日が来るなんて思いもしないで

あなたを失って私は生きる気力を無くした
立っていることさえままならず　辛く悲しい日々
何度あなたの後を追って死のうと考えたことか
でもそれはあなたが望むことではない　「そうだよね」
だからどんなに辛くても私は生きて行きます　あなたの分まで

そしてあなたが果たせなかった夢を　私に叶えさせて
それが私にできる一番の供養だと思っているから

だからお願い　もう一度だけ約束してね　
強く生きていく勇気を私に与えてくれるって
そして遠い空の上からいつも私を見守っていてくれると