古き佳き時代

Kazakoshi Original 2007.12

僕が子供の頃　よく見た光景　
蚊帳　モノクローム写真　チンドン屋　真空管ラジオ　黒電話　豚の蚊取り線香入れ
大八車　８ミリ　ポケットカメラ　丸い郵便ポスト　豆腐売りのラッパの音　木製電柱
土管の積まれた空き地　ポンプ式の井戸　今となっては懐かしい昭和レトロの過去の遺物たち

でも僕の心に一番大きく残っているのは　紙芝居屋のおじさん
その人はどこからともなく自転車を曳いて現れる　彼の代名詞の拍子木の音が鳴り響くと
遊びに夢中だった子どもたちが一斉に歓声をあげて集まってくる
やがて始まる紙芝居　テレビの画面を模った木枠の扉を開けると　そこは異次元空間

そしてせつせつと語りかけるように読み上げる口調は　まさに言葉の魔術師　
子どもたちの熱い視線を釘付けにし　その期待を一心に浴びる　
子どもたちを童話の世界に引き込んだ後は　更なるお楽しみがあった

水飴やニッキを薄焼きの丸い海老煎餅で挟んだ　即席のお手製菓子
その味たるや一度食べたら忘れられない　まさにほっぺが落ちるうまさ